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第2話で書いた通り、正月3が日で、まずはPHPとMySQLでプロトタイプを作りました。
事前に設計書や仕様書のようなドキュメントは作らず、まずはカートに商品を入れる仕組み、次に会員登録、次に会員がカートに商品を入れる仕組み・・・という順番で開発をしていきました。
一人プロジェクトだし厳密には手法が違いますが、アジャイル開発を参考にしたやり方です。

「3が日バージョン」が出来上がったところで、今後の開発方法について一回悩みました。
このままPHPでデザイン、サイト構造も、プログラムも全部書いていくのは現実的ではありません。
何らかのフレームワーク上でデザインとプログラムを分離させていく事も考えましたが、今回はWordpressの「ページ」に直接PHPを書き、プラグインでそのPHPを実行させるという方法をとることにしました。
「3が日バージョン」を作った時点では、まだディレクトリ構造もデザインも全く決まっていませんでした。
今回はとにかくプログラム開発に集中したい。デザインやサイト構造にはあまり手をかけたくない。静的にページを作って、ディレクトリ構造変更時に全ページ手作業で修正・・・なんてことをやっている時間は無い。
Wordpressならディレクトリ構造やナビゲーションメニューの変更もカンタンにできる。
そんな判断でWordpressを「ECのCMSインフラ」として使う事に決めました。
ちょうど同時期に、結婚式の引き出物のサイトをWordpressカスタマイズで作ったり、このサイトmiyasaka.infoもWordpressにしたりといった状況もありました。

サイト構築には、Wordpressの豊富なプラグインに助けられました。
このBlogで過去に紹介したWordpressプラグインのほとんどが、「自炊支援倶楽部」で活用されています。
セッション管理と、ログインした後の「元いたページに戻る」リダイレクト機能と、2つオリジナルのプラグインも作りました。

本業が終わった後の夜間や土日などに「3が日バージョン」をWordpress+PHP環境で書き直しを行い、1月中にはサーバー、ドメイン、SSL証明書の準備も完了。
ところが2月3月と本業が忙しくなり、2ヶ月休み無し状態になり、一気に開発はペースダウン。

忙しい中、一番困ったのが決済の仕組みでした。
一般的なクレジットカードの決済だと、1トランザクションあたりの手数料と、取扱金額に対する手数料がかかる。単価がたったの150円の「自炊代行Webサービス」で、手数料が65円もかかってしまうことになる。

実際のサービス経営をするS氏と話し合い、このサービスは利益を上げる事よりも、本が好きな人が幸せになれるサービスを目指そう、という方針を固めていました。
(注:ということなので、僕は経営には関わっていないので、儲かったらおごってね、とか言われても無理です笑)
自炊のテクニック、ノウハウは隠さずに公開してしまい、Facebookで「いいね」と言われるようなポジションを築こう、サイト名は「自炊支援倶楽部」にしよう、と決めました。
一番いいのは、出版社が全ての本を発売日に電子書籍としても発売してくれる事だし、それはそう遠くない日にやってくる。その日まで、本好きの手伝いを、赤字にならない程度にやっていこう。そんな思いが「自炊支援倶楽部」という名前に込められています。

とは言っても、スキャナのローラーや裁断機の歯は思ったより消耗が激しく、結構コストがかかることがS氏の自炊経験でわかっていました。
売上の半分近くが手数料で無くなってしまっては、消耗品費も出せなくなる。

そんな時にS氏が見つけてきたのが「PayPalがデジタルコンテンツ専用の決済サービスを開始予定」というニュースだった。
このPayPal for Digital Goodsという決済サービスは、取引手数料7円、金額あたりの手数料が5%。150円に対して手数料14.5円の計算になる。
やっと決済方法に目処がついたのだが、PayPal for Digital Goodsは始まったばかりのサービスで、日本語のドキュメントが全くありません。
そしてPayPalの開発テスト用環境(SandBox)がうまく動かない事が多く、開発はかなり苦戦しました。
このあたりのPayPal SandBoxとの戦いについては以前Blogに書きました。

さらにSandBoxと本番のPayPalの動きが違い、SandBoxで問題が無かったプログラムが本番でエラーを吐いたりして、公開寸前に大慌てしたり、公開後にPayPalから連絡が来て、「規約に違反しているので、契約を停止するかもしれない」とクレームをもらったり、色々な事件があった。
「スキャン後のデータ納品を、DVDとかメディアで欲しいユーザもいるよね」と、ユーザベネフィットの為に「DVD納品」というメニューを追加したのだが、これがPayPalから見れば「Digital Goodsではなく、リアルの物販なので、PayPal for Digital Goodsの対象となるデジタルコンテンツ以外を販売している事になる」という理論だった。
まあ、僕の確認不足が悪いのだが。
結果、DVD納品の場合はPayPal払いではなく、代引きで納品する事にしました。
そんなこんなで、PayPalには苦戦しましたが、とはいえ手数料面では「自炊支援倶楽部」はPayPal無くては成り立たないとも言えます。

ちなみに、「自炊支援倶楽部」のロゴは、スーパーデザイナー、H氏に作っていただきました。
Hさん、かっこいーっす!ありがとうございます!


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