「だったら、Webサービスたちあげちゃおうか?」
そんな話になったのは、去年の年末のことだった。
IT企業の経営者や経営幹部を中心にした僕の友人達のコミュニティは、ソーシャルネットワークサービスの進化により、新たな知り合いも増え、Facebookグループで情報交換やコミュニケーションを行う事が多くなっていた。
よく学び、よく働く彼らは、いつも多くの情報と刺激を与えてくれる。
ニュースや書籍の情報など、自ら探しにいかなくてもどんどんとtwitterのタイムラインやFacebookのニュースフィードに流れてくる。
2010年の12月後半。
新発売のドコモのGalaxy Tabを買った友人と、日本国内発売前にわざわざアメリカまでiPadを買いにいった友人が、Facebookグループで「どちらが読書に向いているか」議論していた。
Galaxy TabとiPadの勝敗はなかなか決まらず、「でも、読みたい本が電子書籍で出ないんだよね」という結論になった。
いろいろなメーカー、出版社、書籍流通がアライアンスをくみ、新たな電子書籍流通に取り組み始めてはいるが、読みたいビジネス書全てが、発売と同日に電子書籍で読めるようになるまではまだ時間がかかりそうだ。
「だから、最近スキャナと裁断機を買ったんですよ。」
S氏が書き込んだ。
本とデジタルグッズ好きのS氏は、購入した本を自分で電子書籍化する、いわゆる「自炊」を始めたのだった。
スキャナと裁断機で7万円ぐらいしたそうだ。金額はともかく、スキャナと裁断機は結構な場所を食うので邪魔になり困っているとのこと。
本を宅配便で送ると電子書籍化してくれる「自炊」代行を有料Webサービスとして行っている会社もあるようだが、オーダーが殺到しているらしく3ヶ月待ちらしい。
僕も個人的には電子書籍化には期待していた。PCを持って歩いていると重たい書籍を鞄に入れられず、最近読書量が減っていた。
ジョージや原さんに勧められて買った本が、そのまま自宅の机の上に積み重なっている。
電子書籍化できれば、iPadなどで電車の移動中などに読む事が出来る。
「自炊いいね。でも自分でやるのも面倒だし。すぐに、安くやってくれるWebサービス、どこかにないのかな?」
僕が書き込む。
「だったら、私が有料Webサービス立ち上げて、みんなの替わりにスキャンしましょうか?」
S氏の返事が書き込まれた。
「いいじゃん、やってよ。」
「俺も頼むよ。」
友人達からのコメントが続く。
「ところで、サイト誰が作るの?」
僕の問いかけに、友人から同じコメントが複数書き込まれる。
「もちろん宮坂、お前がやるんだろ!」
こうして、僕が「自炊支援倶楽部」の立ち上げを行う事になった。